すぎたとおるのレキシよもやま話

大河ドラマの女性主人公

レキシ堂コンシェル(http://rekishido.entacafe.net
に連載移行しました「レキシよもやま話」から、
毎月1回ほど、おすすめ記事をピックアップしてお届け。

2011年の江、2013年の八重ときて、2015年は吉田文(松陰の妹)である。
どうやら大河ドラマは一年おきに女性ということで決まったらしい。

ならばといえば興味深い人物が何人かいる。

たとえば東福門院(とうふくもんいん)、徳川和子(まさこ)。
江戸幕府第2代将軍・徳川秀忠とお江の娘で、後水尾(ごみずのお)天皇に嫁いだ。
このころの朝廷と幕府の関係は微妙で、特に後水尾天皇は御気性激しく、幕府と対立することもしばしばであった。
そんな中で幕府と朝廷の調停役として大活躍した和子など、大河の主人公にふさわしいのではないだろうか。

ちなみに和子には京都のファッションリーダーとしての側面があった。
毎年何万両もの金を幕府に出させては新しい着物をデザインさせ、その年の最新モデルとして京都で流行させたのだ。
そういった華やかさも、大河向きである。

東福門院像(光雲寺蔵)

さらに隆慶一郎的には、幕府が和子の子を次期天皇とする(徳川の血を天皇家に入れる)ことをもくろんで陰謀を企んだとの説もあり、サスペンス的な要素も期待できる。

それから「のぼうの城」で主役の座を奪われてしまった甲斐姫。
忍城籠城戦のあと、豊臣秀吉の側女となった彼女の人生はその後も波瀾万丈であり、大坂夏の陣のときには女たちを守って大坂城から逃がしたとの説もある。
前半は忍城、後半は大坂の陣と二度のクライマックスが期待できる。

日本初の女医(「歴史秘話ヒストリア」ではこの説を採用しなかったが)シーボルトおイネもなかなか。
シーボルトと日本人妻との間の娘という数奇な生まれの彼女が日本初の女性産科医を志すというストーリー性に加え、美人という要素もあり華やかさ十分。
さらに大村益次郎とのロマンス、晩年のシーボルトとの再会と、ドラマチックな要素満載である。

瀬戸内海の海賊、鶴姫も忘れてはいけない。
大山祇神社の大宮司の娘であった彼女だが、大内氏の侵攻で兄を失うと兄に代わって戦い、見事大内軍を撃退した。
しかし戦いで兄と恋人を失った鶴姫は自害したという。

そして巴御前。
木曽義仲と兄弟同然に育ってその側室となり、戦場には鎧をまとって長刀を振るった。
義仲の最期に供をしようとするが断られ、最後の一暴れをして見せてからどこへともなく消えていったという。

女性に絞ってもまだまだ大河の主役にふさわしい人物はいくらもいる。
とりあえずは再来年の吉田文に期待しよう。

 

八重の桜 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

すぎたとおる一九七〇年十一月四日生まれ。
東邦大学理学部生物学科卒。
漫画原作者として、「コミック版日本の歴史シリーズ」(ポプラ社)
小説家として「愛の武将 直江兼続」(雷鳥社)
歴史作家として「武田信玄と二十四将」(リイド社)
などの著作がある。

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石垣